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家具に使われている無垢材って何?~表面材の選び方

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日本国内で流通している家具は、木材が使われているものが多いようです。それは今も昔も変わりません。
ただ、ひとくちに木材といっても、家具に用いられる木には様々な種類があります。
たとえば家具の表面材には、多種多様な無垢材(天然木)が使われています。
今回はそんな多種多様な木材の特徴をご説明します。

家具

木材家具の歴史

家具の素材として木を用いるのは、もちろん日本だけではありません。世界的に見ても、木材の家具は大人気です。
なぜ家具に木材を使うようになったのでしょうか。

古来より家具は人々の暮らしと結びついて存在していました。
たとえば、現存している最古の椅子は紀元前2600年ごろ……今から約4700年前、エジプト第4王朝の王妃ヘレプヘレスのものだと言われています。
もちろんこの椅子は木製で、当時のエジプトの大工さんは、水分を含んでいる木の性質をしっかりと理解したうえで、椅子の政策にあたっていたのでしょう。

というのも、この椅子に用いられている「ほぞ穴にほぞを差し込む」構造や、「互いの部材の凹凸を組み合わせる」蟻継(ありつぎ)と呼ばれる技法は、現代にも継承され、活用されている有名な手法のひとつなのです。

木材が選ばれてきた理由

何千年も前から家具の素材として、木材が選ばれ続けてきたのには、木材が持つ様々な特性が関わっています。
木材の特性としては、主に次のようなものが挙げられます。

  • 軽くて強度が高い
  • 様々な表情を持つ木目
  • 他の素材より加工しやすい
  • 安全性

軽くて強度が高い

他の素材よりも軽く、同時に強度が高いのが木材の特徴です。
木材の椅子と同じ重量で鉄のみの椅子を作ろうと思った場合、誰も座ることができないほどサイズが極端に小さくなるか、もしくは実用できないほどに薄い金属を使うことになるでしょう。
それでは、非常に脆く壊れやすい椅子が出来上がってしまいます。

家具の素材は、ただ頑丈なだけでは十分とは言えません。
家具とは、あくまでも生活のなかで実用してこそ意味のあるもの。購入してから、日常生活に支障をきたすような家具を選んでしまうわけにはいきません。

様々な表情を持つ木目

どんな木でも「木目」があり、木目は木によって一つひとつ異なります。また、同じ木から切り出した木材であっても、切った箇所によって木目も違ってきます。
木目とは、まさに木の表情といえます。人の表情は様々であるように、木目もまた様々なのです。

オーク

節の有無や板目の方向など、ひとつとして同じものはありません。そのため、木製の家具を購入する際には、自身が気に入ったものを選び出す楽しみもあります。
また、経年劣化によっても色味に変化が起こるため、自分で長く使い込んでいくうちに味が出てくる点も、木製家具の魅力だと言えるでしょう。

他の素材より加工しやすい

他の材質と比べて加工しやすいのも、家具に木材を使用するメリットのひとつと言えるでしょう。
購入後、どこかが壊れてしまったとしても、木製の家具であれば比較的容易に修理を行うことができます。

たとえば、テーブルの脚が外れてしまった際には、木製のテーブルであれば接着剤や釘などを用いることで応急的な処置も可能です。これが鉄製のテーブルだと……自宅ですぐに溶接作業ができるという方は少ないでしょう。
家具を長く使っていくためには、メンテナンス性も重要です。

安全性

また、小さなお子様がいらっしゃるご家庭の場合には、安全性も家具の選定基準になるでしょう。
木材は、他の金属や陶器などと比べても安全性が高い素材です。パイン材などの木材にはある程度の弾力がありますし、仮に壊れてしまっても、鋭い破片が飛び散ることもありません。

お子様が何かの拍子に転んだりぶつかったりしてしまったとしても、多少の怪我はあっても痕が残るような大怪我をしてしまう可能性は低いと言えるでしょう。

お子様

木材家具が作られる工程

次に、木材が家具へと生まれ変わる工程をご紹介します。

  1. 企画と設計図面の作成
  2. 木取り・パーツ作成
  3. 塗装・組み立て

1.企画と設計図面の作成

家具を作るうえで最初に行うのは、家具の企画と設計図面の作成です。
高い品質の家具を作るためには、どれだけ経験を積んだ熟練者が担当することになっても、設計図がなければいけません。
特に、デザイン性の高い家具であればデザイナーと相談のうえ、図面に起こし、各パーツ作成の手配を行っていくことになるでしょう。

2.木取り・パーツ作成

パーツの発注後、材料となる木材が手元に届いたら、次に行うのは「木取り」と呼ばれる作業です。
切り出したばかりの木材にはかなりの水分が含まれているため、長時間の天然乾燥や日陰干しといった工程により、その水分を抜いてきます。
この「木取り」を行うことで、木材は初めて家具の材料として使用することができるようになるのです。
そして乾燥させた木材から、図面をもとに家具のパーツを作っていきます。

木取り

3.塗装・組み立て

加工機などの最新鋭の機器によって正確に切り出された各パーツは、組み立てる前に下地塗装の処理が行われます。
この塗装によって家具の強度が増し、また塗装を何重にも繰り返すことにより、家具そのものに深い味わいを出すことができるのです。

塗装を終えた各パーツを組み上げていくと、ようやく家具としての形が出来上がっていきます。この時どれだけ丁寧な調整を行うかによって、家具としての使い心地は大きく異なります。
最後に仕上げ塗装を行ってから、厳しい最終チェックを行います。しっかりと検品され、一定以上の水準が保証された家具だけが出荷されて店頭に並び、その後消費者の手にわたっていくことになるのです。

このような様々な工程を経て、木材は家具へと生まれ変わります。
多くの職人たちが心を込めて丁寧に作業を行うからこそ、安心して使用することのできる高品質な家具になるのです。

家具の表面材に使われる無垢材の種類

家具の表面材には無垢材が多く使われていますが、無垢材にはどんな種類のものがあるのでしょう? 

  • パイン材
  • オーク材
  • ウォールナット材
  • マホガニー材

パイン材

近年、日本ではカントリー系のインテリアが流行したことで、最近ではパイン材を使った家具も人気があります。
パイン材というのは赤松の木から切り出した木材のことで、木目のインパクトが大きく、あちこちに散らばった節目が素朴な印象を与えてくれます。また、非常に温かみのある木材であり、どことなくリラックスできる雰囲気を持っているのが特徴です。

木材のなかではかなり柔らかい部類に入るため、加工は非常にしやすいのですが、傷がつきやすく、高い耐久性が求められるような場合にはあまり適していない素材とされていました。

パイン材

ですが“しなり”がよいという特徴もあり、独特の香りと肌触りを好む人も多いため、海外ではホワイトパイン製の高級家具も取り扱われています。

パイン製の家具の注意点は、湿気によって変形してしまいやすいこと。場合によっては使っている内に立て付けが悪くなり、扉などが閉まらなくなってしまうようなこともあるでしょう。
そしてシロアリなどの害虫被害を受けやすい点にも注意してください。シロアリにとってパイン材はこの上ない御馳走ですから、購入の際にはしっかりとシロアリ対策を行いましょう。

オーク材

一般的に、木製家具やアンティーク家具といえば、まず思い浮かぶのは「オーク材」の家具ではないでしょうか。
オークは古代ギリシャの時代から既に家具の材料として用いられており、「マホガニー」が登場する1700年代までは、最も一般的な素材でした。
オークの木の特徴は、何よりもその硬度でしょう。オークは非常に堅く重厚な木材であり、タンニンという成分を多く含んでいるため、他の樹木よりも害虫の被害に遭いづらいため、屋外で使うベンチなどにも適していると言われます。

また、上質なオーク材は「虎斑」(とらふ)と呼ばれる、虎の毛皮にも似た独特の模様を持っています。
この虎斑とは、オークの柾目(まさめ)のなかでも稀に表れる斑であり、湿気や乾燥にも強く、頑丈な部位にのみ表れる模様として知られています。
しかも、すべてのオーク製の家具に表れるものではなく、上質なオーク材であることの証明ともいえる虎斑。
オーク材の家具を見るうえで、ぜひチェックしてみてください。

オーク材

一方、オークといえば「樫の木」と翻訳されていることがありますが、これは誤解です。
オークとは「ミズナラ」の木のことを指し、これはブナ科に属する樹木です。
このミズナラの木は日本においても古くから家具の材料として親しまれてきた木材であり、オーク製の家具は和のインテリアにもマッチすることで有名なのです。

さらにメンテナンスも比較的容易で、使い込んでいくにつれて渋みのある風合いへと変化していきますから、長く使い続けていくことができることも、オーク製家具の長所でしょう。

ウォールナット材

オーク材と同じく古くから用いられているのが「ウォールナット」、つまりクルミの木から切り出した木材です。
オーク材と比べると、色味にどこか温かさがあり、木目の表情からも柔らかい印象を受けるのが特徴です。

クルミの木はアジアから北ヨーロッパ、そしてアメリカと、広範囲に生育しています。
16世紀から17世紀ごろのイタリア製家具に多く使用されており、オークと比べてゆっくりと成長するために引き締まった性質を持ち、歪みの少ない木材が取れることで有名になりました。
それだけに、正確な作業を行うためのテーブルとしてはオークよりもウォールナットのほうが適していると言われ、現在でも高級家具の素材として広く使われています。

ウォールナット

ウォールナットの木材は非常に堅く、ネジや釘などを打ち込んだ場合にもしっかりと固定できるため、日常的に使う椅子などには適した木材でしょう。
塗料のノリもよいため、古くからロココスタイルの金箔塗りの家具などには、このウォールナットを使うことが多かったようです。

そんな堅牢で頑丈なウォールナットですが、実は害虫にはあまり強くありません。
紫外線にも注意が必要で、長い期間、日差しが当たり続けると、その部分だけ色合いが濃くなってしまうという特徴を持っています。
たとえばアンティークの家具を見てみると、一部分だけ色合いが薄くなってしまっているものがありますよね。これは同じ場所に置き続けていたために、そこだけ日差しに当たらなかったため、色合いに差が生まれてしまったものなのです。

こうした特徴から、家の外で使う家具に関しては、ウォールナット製の物は避けたほうがよいでしょう。

マホガニー材

18世紀初頭、オークとウォールナットに代わる家具の材料として注目を集めたのがマホガニーです。
現在でも高級家具やギター、ヨットの内装にも使われているので、この名前を聞いたことのある人も多いでしょう。

マホガニーの魅力は、なんといってもその締まった木目にあります。木目が均一であるため長さを保ったまま切り出すことが可能であり、そのうえ木目が引き締まっているにも関わらず軽量です。
そのため一枚板で作り上げた長いダイニングテーブルなど、オークやウォールナットでは作り得なかった家具を作ることもできるようになりました。同時に、材質は柔らかいうえ頑丈で、家具職人にとってはまさに理想の素材かもしれません。

マホガニー

マホガニーの登場で、従来よりも繊細なデザインやカーブなども表現できるようになり、家具はスリムなものへと変化していきます。
ところが1700年代後期に入ると、あまりにも急激に伐採が進んでいってしまったせいで、マホガニーの数は一気に少なくなってしまい、現在では非常に希少な木材になってしまいました。マボガニーを保護するために世界中で厳しい規制がかけられているのですが、現在でも密輸取引が行われることすらあります。

このようにマボガニー製の家具は非常に希少なものですから、購入の際は大切に取り扱い、長くご愛用ください。

家具

ここでご紹介した木材のうち、パイン以外は全て広葉樹です。広葉樹は、日本ではそれほど古くから使われていたものではありません。日本では檜、杉、桐といった針葉樹が多く使われてきました。
木製の家具には長い歴史があり、木の種類によって見た目も特性も様々で、同じ種類の木でも一つひとつ違う表情を持っています。
家具を選ぶ際は、その木材の持つ色や肌触り、木目や頑強性などの個性もチェックすることで、長く愛用できる素敵な家具を選ぶことができるでしょう。
まずはお気に入りの家具にどんな木材が使用されているのか、ぜひ注目してみてください。

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